信州山里だより
2014-04-09
4月5日の山里歩き
寒い!!
冬がよみがえってしまった!!
時折雪が舞う中を、多分待っていてくれるであろう
山菜や野草と会うため冬のような厚着をして出かけました。
最初は土手でカラスノエンドウを摘みました。
ちょうどいい摘み頃のちょっと手前かなというところですが
どんどん摘みました。
時々車に戻って暖を取りながら。
10分も摘んでいると寒さで指先がこわばってしまうからです。
カラスノエンドウ
カンゾウは場所によって摘み頃がやや峠を越した感あり。
ちょっと成長しすぎたカンゾウ
ノビロは土手一面に広がっていていくらでも採れそうですが、
土の中から引き抜くと玉が取れてしまうので、
土を掘り起こし一本一本取り出さなければならず、
手は汚れるし、なかなか手間がかかります。
ノビロ
里山に入って行くと「山のプロッコリー」とも呼ばれるニワトコのつぼみが
大きくなり始めていました。来週は摘み頃か。
ニワトコ
山道を歩いているとおもしろいものに出会いました。
白い産毛の生えた小さな赤い杯です。
シロキツネノサカズキというきのこで、その可愛らしい姿から
キノコ写真愛好家には人気のあるきのこです。
春に出ます。
シロキツネノサカズキ
里山に春を告げるダンコウバイの花は褐色の里山に黄色の霞をかけます。
ダンコウバイ
清水が湧く沢沿いのワサビはまだ早いようです。
来週は白い花を咲かせてくれるでしょう。
ワサビ
2014-04-02
3月29日の山歩き
先週のポカポカ陽気で冬眠から覚めました。
里の土手は春の息吹が全開に近づいていました。
一週間違うだけでこんなに様子が変わるとは何と自然の力は
偉大なのだろうかと一人ニヤニヤと喜んでいました。
カンゾウは陽当たりの具合で、ちょうどよかったり、
小さかったりしましたがもう充分食べ頃です。
ぬたや天ぷらに、また鍋に入れてもとてもおいしい!
ツクシはまだちょっと早めで来週が摘み頃か。
辛煮にすると最高の酒の肴になります。
タネツケバナは可憐な白い小さな花を規則正しく咲かせ
群生していました。
アブラナ科特有のピリッと辛く、
さわやかな香りはサラダにピッタリです。
カラスノエンドウは子供の頃、その実を笛代わりにして
ピーピー鳴らして遊びましたが、
若芽は辛煮にすると独特の深い香りがして絶好の酒の肴になります。
スイバはスイコとも呼ばれ、昔は道端に生えているのをちぎって
その新鮮な酸味を楽しみましたが、今の飽食の子供達には
受け入れられる味ではないでしょう。
酢の物向きです。
ノビロはすぐれものです。
料理にアクセントを付けてくれる貴重な食材です。
ノビロのおやきなんかも絶品ですが、
とても利用範囲が広く重宝します。
里山近くの土手はフキノトウが取り放題。
農家の人も出始めは摘んで楽しむのでしょうが、
きっと食べ飽きて傍観者となってしまうのでしょう。
2014-01-22
山野草の楽しみ・・・山歩き総集編7
5月に入りますと山菜が本番となり、
様々な種類の山菜の中で
今回はどんな種類をどのくらい採ろうかと頭を悩ます訳ですが、
山野草の方も一番の季節となります。
初夏と呼ばれる5月・6月は山に花があふれ、
まさしく百花繚乱の風情ですが、その咲き方もいろいろです。
常に孤独でひそやかに、孤高の美しさを保っているのは
ヤマシャクヤクやシロバナエンレイソウ。
出会った瞬間、時間が止まり、その美しさに魅了されます。
ヤマシャクヤク
シロバナエンレイソウ
数本ずつ固まって出て、
まるで家族の団結を誇っているように出ている
ヒトリシズカのような花もあります。
ヒトリシズカ
イカリソウはその可憐な花からは想像できませんが
秦の始皇帝が愛用したと言われ、強壮薬で有名です。
イカリソウ
ズダヤクシュは昔から長野県や北陸地方で
ぜんそくの薬として用いられてきました。
ちなみにズダとはぜんそくのことです。
ズダヤクシュ
咲いている姿がとてもユニークなものもあります。
ツクバネソウは輪生した葉の真ん中に
羽根つきの羽根のような花が咲いています。
ツクバネソウ
クルマバツクバネソウは
車輪のように付いた葉の真ん中にやはり羽根が乗っています。
南国の鳥にもこんな頭をしたのがいたような......?
クルマバツクバネソウ
サンカヨウは芽を出した時は
地上から緑の弾丸が飛び出ているような感じですが、
成長するとフキのような形をした大小2枚の葉がユニークで
その小さい方に花が付きます。
夏になると青紫色の甘酸っぱい実がなります。
サンカヨウ
他にもまだまだたくさんの可憐な山野草があります。
イチリンソウ
マイズルソウ
タケシマラン
ユキザサ
アズマシロカネソウ
シラネアオイ
ラショウモンカズラ
2014-01-16
山野草の楽しみ・・・山歩き総集編6
これまで5回シリーズで昨年1年間に採って来た山菜、きのこを
全部ではありませんが、時系列でご紹介してきました。
今回から2回にわたり、その間に出会うことができた
可憐な花々をご紹介しましょう。
今回は春の花です。
里山で春一番の花と言うと、ダンコウバイでしょうか。
まだほとんど褐色がかった山の中にあって、
部分的に黄色の霞がかかったように見えるのがダンコウバイ。
小さな黄色の花が枝全体に付くのでそんな風に見えますが、
近づいて見ると、香水のようなやや強めの香り。
ほのかに香っていると悪くない匂いですが、
近づきすぎると強烈で嫌味な臭い。
昔、朝鮮では種子から油を取り頭髪用に用いたとか。
続いて咲き出すのがキブシ。
房状に花が付き独特の雰囲気を持っていますが、
実にはタンニンを多く含み、昔お歯黒の原料にも使われました。
さらに続いてクロモジの花も咲き出します。
ご存知、爪楊枝の代名詞でもあり、原料でもある香木です。
繊細な枝を折ってみると、甘いジンジャーのような香りがします。
昔は香料として化粧品や石鹸などに利用され、
又根や枝は漢方薬として様々に利用されました。
花も可憐で私の好きな花の一つです。
木の花が先行しますが、徐々に地面も賑やかになっていきます。
野から里山では、カキドウシ、スミレ類、ケマン類、
ショウジョウバカマ、シュンラン、ウスバサイシン......。
身近に出て来る草花を調べてみると、実に多くのものが
民間薬として昔から利用されていて、先人の知恵に驚かされます。
例えばカキドウシは
さわやかな香りのする和製ハーブとも言える草ですが
昔から疳の虫の妙薬として虚弱児の強壮剤に用いられ、
その他糖尿病を始めとして様々な薬効が認められています。
里山から深山に入っていくと
「清純」「可憐」といった言葉にふさわしい山野草が続々出て来ます。
2014-04-16
4月12日の山里歩き
やはり今年の春の進み具合は遅い!
山の風は体を突き刺すように冷たい!!
天気はいいのですが、山はまだ寒く、
自然の息吹も例年より大分遅れています。
里の方はカンゾウやツクシも終わりになり
だんだんと標高を高めていく時期です。
里のツクシ
山の方はフキノトウもまだまだ採れます。
ふき味噌は飽きてきたので花を採って酢の物にします。
なかなか乙な肴になります。
フキの花
キブシのつぼみもふくらみ始め、クリーム色が強くなってきました。
花房が並んで垂れる姿は独特の風情があります。
この実はタンニンが多く含まれていて
江戸時代にはお歯黒にも利用されたそうです。
キブシ
ニワトコはちょうど採り頃になってきて、
「山のブロッコリー」は天ぷらにして食べましょう。
ニワトコ
私の採るクレソンは標高の高い所にあるので、
場所によってはまだ雪の中。
手が切れるような冷たい水に育ったクレソンは香りが良く、
ツンとした辛味にしびれます。
クレソン