信州山里だより
2013-07-17
7月11日の山菜採り日記
夏はヨーロッパで人気の高いきのこが
長野の地でもいろいろ採れます。
アンズタケはフランスではジロールと呼ばれ、
ヨーロッパで一番ポピュラーなきのこで
世界的に見てもたくさんの国で食べられています。
アンズ色をした分かりやすいきのこで、
ほのかにあんずのような甘い香りがします。
菌輪を作ることが多いので見つけるとたくさん採れます。
アンズタケ
タマゴタケは幼菌のとき真っ白な卵型をしていて
まさしく名前の通りの形をしています。
やがて卵の上部が割れ、真っ赤な傘が出て来ます。
鮮やかな赤で一見毒きのこに見えますが、
食べてみると、おだやかで旨味のあるきのこです。
ヨーロッパのものは少し種類が違うようです。
洋風でも和風でもどちらもおいしく食べられます。
タマゴタケ
ヤマドリタケモドキは先週号でも紹介しましたが、
ポルチーニの仲間で癖がなく、傘は厚く舌ざわりがよく、
柄は太く歯切れがすばらしい。
夏を代表するきのこの一つです。
シンプルに炒めるのがおいしいですが、
たくさん採れた時はオイル漬けにします。
ヤマドリタケモドキ
詩人室生犀星が、マツタケよりもおいしいキノコと
好物にしていたアカジコウはなかなか採れない幻のキノコ。
採れてもせいぜい2~3本という孤高のキノコで、
ヤマドリタケの仲間です。
ばらのような紅色をした美しいきのこで、
そのほれぼれするような美しい姿を見ると
採るのを忘れ、幸福感に満ちた心でしばらくは眺めています。
(写真のキノコは老成して色が落ちています)。味も一級品です。
アカジコウ
コガネヤマドリは同じくヤマドリタケの仲間。
鮮やかな橙色は森の中でとても目立ちます。
味の方はそれなりです。
コガネヤマドリ
カバイロツルタケはタマゴタケの仲間で、
毒きのこの多いタマゴタケ科の中の数少ない食菌です。
よいダシが出るので汁物などに向いていますが、
生える環境によって他のきのこと間違い易いので私は採りません。
カバイロツルタケ
2013-07-10
7月6日の山菜採り日記
早々と梅雨が明けてしまいましたが、気持ちは複雑です。
というのも梅雨時はおいしい夏のきのこがたくさん出るので
あまり早く梅雨が明けてしまうと不作の夏となってしまうからです。
一方当社のビアガーデンを始めとして
生ビールはどんどん売れるので商売上はとてもありがたいのです。
しかし今日のところは夏のきのこが期待に応えてくれました。
夏はジコボウの仲間がたくさん出ます。
傘の裏が網目となるきのこです。
その中でも人気はポルチーニの仲間です。
イタリアでポルチーニ、フランスでセッブと呼ばれ、
日本名ヤマドリタケは大型で肉厚、香りはおだやかで旨味が強い。
私の大好きなきのこです。
今日はヤマドリタケモドキがたくさん採れました。
又その仲間のアカヤマドリも採れました。
どちらもざっくり切ってオリーブオイルやバターで炒めると最高です。
ぎんぎんに冷やした辛口の白ワインと合わせると
心は天国をさまよいます。
お店でも出していますのでぜひ一度トライしてみて下さい。
ヤマドリタケモドキ
ヤマドリタケモドキの写真2
写真2のヤマドリタケモドキは20㎝弱の大きさでした。
その他に採れたジコボウ(イグチ科)のきのこ達です。
どれもおいしいきのこです。
アカヤマドリ
アミタケ
ヌメリイグチ
他にもいろいろ出ていましたが、
特徴的な毒きのこを2種紹介しましょう。
テングタケ科のきのこは猛毒菌の宝庫ですが、
その代表的なものがこのテングタケです。
今日の中では一番元気にたくさん出ていました。
(テングタケは猛毒ではありません)
テングタケ
テングタケの写真2
ウスタケは昔のきのこの本では
食べられるとしていたものもありましたが
今はどの本でも毒きのことされています。
杯型をしたユニークな形をしていて
自然の造形の妙を感じさせてくれるきのこの一つです
ウスタケ
2013-07-03
6月29日の山菜採り日記
沢は雪にまだ埋まっていました。
世の中は夏になろうとしているのに、
この谷はまだ冬を閉じ込めている......。
そんな沢の中でヤマウドはちょうど食べ頃を迎えていました。
ヤマウド
この時期に必ず出るウスヒラタケもやっぱり出ていました。
ウスヒラタケは
春から秋まで条件さえ整えば出現するくせのないおいしいきのこです。
ウスヒラタケ
そして心ときめかせてくれる美しい花々も......。
シラネアオイは山の麗人とでも言いたくなる楚々とした風情の
高貴な姿に一目見た瞬間、癒されます。
シラネアオイ
ラショウモンカズラはその大層な名前とは異なって、
ごく普通の花ですが、明るい紫色が目にしみます。
ラショウモンカズラ話は変わりますが、私の山歩きの中で天敵が2つあります。
それはウルシとツタウルシです。
私はかぶれ症なのでうかつに触ってしまうと大変なことになります。
どちらも秋には真っ赤に紅葉して美しく、
ウルシは漆器の原料としても貴重なものですが、
私にはとても手強い相手なのです。
ウルシの姿は皆さんも想像できると思いますが、
春先の芽吹きの頃など分かりにくく、
又きのこの時期ですと地面に集中する余り触ってしまいます。
ウルシ
ツタウルシは太目の幹などにからまっていることが多く
幹にからまる葉には油断大敵です。
ツタウルシ
2013-06-26
6月22,23日の山菜採り日記
竹の子採りの後、予定していた沢でいろいろな山菜を採ろうと
しましたが、写真のように残雪で埋めつくされていて断念。
沢
今日は気分を換えて里山を散策してみることにしました。
6月下旬のこの時期の里山は山菜的なものは採れず
もっぱら木の実や花が中心となります。
若芽をお浸しや天ぷらに利用したイワガラミは
アジサイに似た花を咲かせています。
イワガラミの花の写真1
イワガラミの花の写真2
天ぷらに利用したニワトコの実が赤く色づいていました。
ニワトコは昔にわとりの止まり木に利用されたのが
その名の由来のようですが、その実を果実酒にすることができます。
冷え性、貧血、疲労回復に効果があるそうです。
青森県の三内丸山遺跡でニワトコの種がたくさん出て来て、縄文人も
ニワトコなどの実を利用して酒を作っていたという説もあります。
ニワトコの実
スイカズラはその若芽を山菜として利用できますが、
花を使ってお酒を作ることができます。
一度作ったことがありますが、
ウィスキーのような色のおいしいお酒になりました。
昔から解熱、解毒の妙薬とされてきました。
スイカズラ
モミジイチゴは山菜採りの時にとげが皮膚に刺さり、
やっかいな低潅木ですが、
その橙色の大きめな実はとても甘く、私が一番好きな野イチゴです。
お酒にも利用でき、美肌や疲労回復、食欲増進に効果があるそうです。
モミジイチゴ
2013-07-24
7月20,21日の山歩き
今回は二日にわたって涼しい話題を二つ。
初日(7/20)
早朝山に入る前に、ふと空を見上げるときれいなひつじ雲。
まるで秋空のようだ。
ひつじ雲
空気もひんやりしていて秋を感じさせる、と思いながら
きのこを採り始めると、なんともうナラタケモドキが出ていました。
8月の終わりから9月の初めに出るきのこですが
勘違いをして出てしまったのでしょうか。
もちろん食べられるきのこです。
ナラタケモドキ
さらに盆過ぎから初秋にかけて出るチチタケも出ていました。
名前の通り白い乳がたくさん出るきのこですが、
栃木県で熱狂的な人気のきのこです。
チチタケ
さらにさらに9月から出始めるハツタケの姿も!
ハツタケは私の大好きなきのこで網焼にするとお酒が進みます。
ハツタケ
二日目(7/21)
6月末まで雪に閉ざされていた谷に入ってみました。
雪に埋め尽くされていた谷には雪のかけらもなく
緑におおわれていました。
6月23日の谷
7月21日の谷
谷をさらに進むと、ウスヒラタケの群生に遭遇。
こちらはシンプルにおろし和えがおいしい。
ウスヒラタケ
さらにさらに谷を進むと驚きの光景が!!
驚きの光景1
驚きの光景2
残雪が残り、ミズバショウが咲き誇り、フキノトウの花も
咲いていました。
夏の世界にぽっかりと春が取り残された不思議な空間です。
春の山菜を復習して採りました。
フキノトウ、トリアシショウマ、ヤマウド、
ウドブキ(ヨブスマソウ)、モチコゴミ、タマガワホトトギス、
ハンゴンソウ、イタドリ......などです。
豊かでこの上なく贅沢な自然の恵みに、
幸福感に満たされながら谷を下ると、今度はサンカヨウの実が
迎えてくれました。
プラムを小さくしたような紫色の実は甘酸っぱく疲れを癒してくれます。
サンカヨウの花(6/9)
サンカヨウの実(7/21)